骨盤・姿勢について

骨盤・姿勢について


骨盤について

骨盤について

 骨盤は寛骨・仙骨・尾骨の3つで構成され、仙骨の上に脊柱が位置し、寛骨に大腿骨との関節面があります。また、骨盤は男女で形が異なり、左側の骨盤のほうが大きい傾向があります。そのため骨盤の一番高い位置(脇腹の辺り)は左側が高い場合が多く、螺旋状のねじれがあり上側では時計回りに、下側では反時計回りになっています。

 骨盤には多くの靭帯があり、この靭帯が緊張することで骨盤の仙腸関節が安定します。その靭帯の一つである仙結節靭帯には、大腿二頭筋長頭の起始の一部があるため、脚の筋肉も仙腸関節の安定性に関与しています。この仙腸関節は中腰の姿勢が最も緩んだ位置で、腰を反らせた状態が最も締まった位置で安定した状態とされています。緩んだ中腰の状態で行う繰り返す作業や、不用意に重いものを持ち上げたり、腰を捻ったりして骨盤周囲の筋肉の協調性が崩れると、仙腸関節の機能異常が生じてぎっくり腰や長びく腰痛の原因となります。

 女性に特有のものとして月経痛がありますが、骨盤と子宮を結ぶ靱帯と神経の緊張が関与していると言われています。産後の傷ついた骨盤底筋の機能不全や、ひろがった骨盤がもとに戻るときに不安定さが残ると、腰痛やおしりの痛みの原因になります。

 スポーツをするときには、同じ動作の繰り返しになります。野球のピッチングを例にすると、右投げでは体を左に捻じる動作の反復になります。繰り返して使う筋肉と使わない筋肉とのバランスが崩れることで、少しづつ変位していきます。それに伴う運動連鎖によって、肩や膝などの故障をしやすくなることがあります。

 このように産後にかかわらず姿勢や生活習慣、スポーツ特性、日常生活を送るうえで受ける重力の影響などのほか、人が生まれもって左右非対称(筋肉、内蔵器官、骨格、骨盤など)であることなどで、骨盤周辺の筋の過緊張・股関節の可動域制限などを招いて、腰痛や股関節痛、恥骨部やおしりの痛み、脚のしびれなど、さまざまな症状が出ることがあります。

骨盤のことでお悩みの方は、当院にご相談ください。


◎骨盤調整について
◎骨盤調整で月経痛が軽減する?
◎骨盤は左右非対称にできている
◎妊娠や出産時の骨盤



【骨盤底障害による症状例】
・便秘
・排尿困難
・腹圧性、切迫性尿失禁
・便失禁
・骨盤臓器脱、骨盤底脱
・性交疼痛症
・一過性直腸痛
・尾骨痛
・骨盤底緊張性筋痛症
・慢性骨盤疼痛症候群

姿勢について

立位姿勢は乳幼児期に完成

 立位姿勢は中枢神経系・相働筋の姿勢機能や安定機能の発達によって、生後1ヶ月から4歳までの乳幼児期に完成されます。不良姿勢は中枢神経系と筋骨格系の機能不全から、全身の筋肉や筋膜のバランスが崩れることが原因となって筋緊張、筋収縮、筋バランス、協調、パフォーマンスの変化として現れてきます。筋のアンバランスは全身的な影響を受け、痛みや違和感などの身体の不調、関節の変形、O脚や扁平足、上位交差症候群・下位交差症候群などの原因になります。

 そのような筋のアンバランスは日常生活や交通事故、スポーツ・趣味などでの偏った動作のほか、骨折、ぎっくり腰、足首の捻挫などの怪我に起因するものもあります。

動きの制限は痛みやしびれの原因にも

 また、パソコン作業やスマートフォンでメールを打つ、あごを突き出して頬杖をつく姿勢など、背中を丸めて顎を突き出す猫背の姿勢では首の後ろや背中の筋肉は緊張してつまるように、肩は前の方へ巻き込むようになり、あごは前に引っ張られます。このような姿勢は前に引っ張られた頭(5kg)と両腕(4kg×2)を支えるため、首や肩甲骨周りの筋肉が引っ張られて緊張状態になり、首や肩のこり感につながります。またこのような猫背姿勢は、ストレートネックの原因になります。

 このように筋肉がバランスを崩して代償的な動きをすることで硬くなったり、短くなったりして過緊張を起こし、神経を刺激することで頭痛などの痛みを感じます。また、これが交感神経の活動を高めて部分的に血液が行き渡らない状態を作ります。不良姿勢からの痛みには、筋肉の緊張が持続して血液が行き渡らない状態になる肩こりのような症状や、筋筋膜性の腰痛や膝痛などがあります。

姿勢のことでお悩みの方は当院にご相談ください。
◎全身調整について
◎痛みへの微弱電流治療
◎立つ姿勢と骨盤の関係


上位交差症候群

上位交差症候群

 上部僧帽筋、肩甲挙筋、大胸筋の硬化、頸部深屈筋と肩甲骨の下部安定筋の抑制が特徴。立っているとき肩が上がり突き出し、肩甲骨の回旋と外転、翼状肩甲、頭の位置が前に突き出す姿勢になる。このような姿勢になると、頭・首・胸部の連結部が圧迫されやすくなり、肩甲骨の安定性が低下して上肢の運動パターンが変わるもの。


下位交差症候群

下位交差症候群

 股関節屈筋群と脊柱起立筋の硬化、殿筋と腹筋の弱化が特徴。この筋のアンバランスによって骨盤が前傾して股関節の屈曲が増え、その代償として腰椎が過度に前弯する。そのため両股関節のほか、腰部にも過剰なストレスがかかりやすくなるもの。


レイヤー症候群

 上位交差症候群・下位交差症候群の2つが組み合わさったもの。これが認められるときは筋のアンバランスが中枢神経系レベルで固定されている。


筋筋膜性疼痛症候群

 筋膜の異常が原因となって痛みやしびれを引き起こす疾患のこと。筋緊張性頭痛、腰痛、膝痛、手足のしびれなど、さまざまな症状の原因となっていることがある。

◎痛みについて

【参考文献】姿勢の教科書/竹井 仁、脊椎のリハビリテーション/クレイグ・リーベンソン